派遣標準得点をめぐる戦い - 67回全日本種目別選手権 後編

かなり遅くなってしまいましたが、種目別選手権の後編です。

■跳馬(派遣標準得点15.400)

跳馬は跳躍から着地の一瞬で結果が出るので、見ていてわかりやすい種目です。
さらに種目別の場合は、各選手が大技にチャレンジしてくるので、とても見応えがありますね。

この種目の優勝候補は跳馬のスペシャリストの斎藤。

その斎藤は、1本目にヨー2、2本目にロペスを跳びましたが、どちらも着地が乱れ、ラインオーバーなどミスが出てしまいました。

優勝は早稲田の小倉。

斎藤と同じ、ヨー2とロペスですが、1本目にロペスを跳んでいました。

自分が観戦していた席の前に、小倉の出身校である習志野高校の選手が座っていて、小倉に大きな声援を送っていました。
優勝が決まった時も、かなり喜んでいたのが印象的でした。

■平行棒(派遣標準得点15.900)

平行棒では、田中佑典がD得点をかなり上げた構成で、派遣標準得点を狙うと宣言していたので、注目していましたが、マクーツで足をぶつけるミスが出て、シャルロから次に技につなげるところで、降りてしまいました。

シャルロからヒーリーにつなげるということだったので、見てみたかったですね。
残念。

そして、平行棒のスペシャリスト、田中和仁は、下りの前の車輪で少し乱れてしまい、その影響で着地で着地が乱れ、思い切り後ろに転倒となってしまいました。

演技の流れ自体は良かっただけに、もったいなかったですね。

結果、優勝は昨年に続き小林(15.550)の2連覇となりました。

小林は、技を多く入れた演技構成ですが、一つ一つが正確な実施でした。

年齢もかなりベテランの域になってきましたが、どの種目でも上位に入ってくる安定感はさすがです。

■鉄棒(派遣標準得点16.300)

鉄棒では、植松がコールマン~コバチ~ゲイロード2の3連続を入れて、派遣標準得点を狙うといわれていました。 Continue reading “派遣標準得点をめぐる戦い - 67回全日本種目別選手権 後編”

驚異の高校生白井健三 - 67回全日本種目別選手権 前編

世界選手権代表に種目別のスペシャリストを選抜するという意向の元、例年は秋だった種目別選手権を、6月に開催するという初の試みの大会でした。

派遣標準得点が設定され、その得点に達したうえで優勝すれば代表決定となるので、各選手がその基準点に合わせた高難度の演技構成にしてくることに期待していました。

会場は世界選手権東京大会の会場でもあった、東京体育館。
ここは見やすくて好きです。

まず結果はこちら

第67回全日本体操種目別選手権(トランポリン代表決定)情報 | 日本体操協会公式ブログ | スポーツナビ+.

種目ごとの感想など。

●ゆか

ゆかの派遣標準得点は、15.900。
ロンドン5輪の金メダルのZOU Kai の得点が15.933なので、これと争える構成を求めるということですね。

この種目での注目選手は、何といっても高校生の白井健三。

白井は1か所着地がはずんだところがあったものの、最後の4回ひねりもうまくまとめて、D得点7.3というすばらしい演技構成で15.900。
標準派遣記録に達したので、これで代表決定となりました。

16歳での世界選手権代表は、史上最年少とのことです。

ひねりのうまさもそうですが、この1発勝負に合わせられるメンタルの強さは強みですね。
しかも1週間前にぎっくり腰をやっていたそうです

万全の体調だったらもっといけそう・・・。
世界を驚かせてくれるのが楽しみです。
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同世代による熾烈な代表争いと、貫禄の王者 -第52回NHK杯

もう1週間たってしまいしたが、NHK杯の観戦レポートを。

結果はこちら
第52回NHK杯情報 | 日本体操協会公式ブログ | スポーツナビ+.

オリンピック直後のフィーバーは一段落しましたが、まだまだ内村の注目度は高いようで、周囲の親子連れが、「ほら、あの人が金メダルの人だよ」と教えていたりしました。

今回のNHK杯は、全日本選手権の得点1/2を持ち点として、今大会2日間の個人総合結果により順位を決める大会。
ポイントは何といっても、内村を除いたトップの選手1名が、世界選手権の代表になるという点でした。

1日目を終えての順位は

内村 航平181.825
加藤 凌平 177.875
野々村笙吾 176.750
田中 和仁 175.300
小林 研也 174.275
田中 佑典 174.200

加藤が一歩抜け出し、それに同じ順天堂大の野々村が続き、ベテランの田中和仁、小林という状況でした。

加藤は先日の学生選手権のウォーミングアップ中に、つり輪の皮ベルトが切れるというアクシデントにあい肩を痛めた影響で、かなり調子が悪そう。
得意のゆかでも、ラインオーバーがあったり、捻りの回転が足りずに窮屈な着地になったりしていました。

加藤を追う野々村は、床で少しミスがありましたが、その後はミスのない演技。

田中和仁は調子が良さそうで、最近よく落下していたあん馬でも、この日は完璧な実施。
全体的にいい流れで試合を進めているように見えました。

 

順天堂の2人の熾烈な2位争い

5種目目の平行棒を終えた時点で、2位争いは、ほぼ加藤と野々村の2人にしぼられ、

加藤 250.975
野々村 250.450

という得点で、点差は0.525。

最終種目鉄棒の、前日のそれぞれの得点は

加藤 14.750
野々村 15.350

と、野々村のほうが0.600よかったので、同じ内容ならば、野々村が逆転することになります。

さらに鉄棒は落下もありえるので、まさに目が離せない状況。 Continue reading “同世代による熾烈な代表争いと、貫禄の王者 -第52回NHK杯”

スペシャリスト選考の意図とは?

NHK杯を前にして、日本体操協会常務理事遠藤さんによる、選手選考の意図のわかりやすい解説記事がアップされていました。

団体復活へ選考見直し、スペシャリストの活躍にも注目=体操NHK杯|コラム|他競技|スポーツナビ.

従来から日本体操協会は個人総合を重視し、代表選考の柱にしてきた。五輪の団体総合予選は5−4−3制(5名のエントリー選手の中から各種目4名が演技し、その上位3名の得点が団体の得点となる方式)で、団体決勝は5−3−3制(5名のエントリー選手の中から各種目3名が演技し、そのすべての得点が団体の得点となる方式)で行われる。そうなると当然、スペシャリストをうまく組み合わせて戦った方がチーム力を効率的に向上させることができる。ただし、もしもメンバーの誰かが負傷したり、調子を落とすと、スペシャリストが多いチームほどマイナスダメージが大きくなるという懸念点がある。日本はその危機管理と、体操本来の伝統を重んじてきた。

中国に勝てなかったの理由はまさにここですね。

リスクをとってスペシャリストをそろえた中国と、危機管理と美学をとってオールラウンダーを重視した日本。

北京、ロンドンと2大会連続で負けてしまったことで、体操協会にも何かを変えなくてはいけないという流れが出てきたのだと思います。
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内村史上初の6連覇!女子は笹田が初優勝 -第67回全日本体操競技選手権

全日本選手権は、内村が2位の加藤に3.500という大差をつけて、史上初の6連覇を達成。

女子は、笹田が初優勝となりました。

結果はこちら↓
第67回全日本体操競技選手権大会情報 | 日本体操協会公式ブログ | スポーツナビ+.

疲れが見えても際立っていた王者の強さ

内村は試合後の会見で、

「振り返る余裕もないくらい疲れた」

と語っていましたが、確かにいつもの”無敵感”はなかったです。

体操:6連覇の内村「振り返る余裕もないくらい疲れた」- 毎日jp(毎日新聞).

ゆかでは着地が少しずつ動いていて、最後の3回ひねりも、跳んだ瞬間ちょっと抜けたような感じになって、なんとか着地したという感じでした。

その後のあん馬で落下があり、跳馬は1日目にヨー2を飛んでいたんですが、急きょシューフェルトに変えたようでした。

そのシューフェルトはなんと半年も練習してなかったそうです。
そんなことは全く感じさせない出来栄えでしたが・・・。

それでもしり上がりに調子をあげていって、新技「マクーツ」を含む平行棒は着地もピタリで、ほぼ完璧な内容。

そして圧巻の鉄棒は、完璧なカッシーナから始まり、最後はフェドルチェンコ!!
おしくも1歩動きましたが、会場を沸かせました。

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やはり内村強し!2位加藤、3位田中佑典 -第67回全日本体操競技選手権

全日本選手権の1日目が終了しました。

男子は、今回がケガからの復帰戦となる内村が、2位の加藤に2.050点という差をつけた圧倒的な強さを見せて1位となりました。

結果はこちら

内村は、つり輪以外の5種目で15点以上を出し、(つり輪は14.900)ブランクを全く感じさせない演技だったようです。

鉄棒の内容が圧巻です。
カッシーナをほぼ完璧に決め、下り技はフェドルチェンコ(後方伸身2回宙返り3回ひねり下り)!

以前から練習しているという話でしたが、やっと公式の大会で披露しましたね。
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アメリカのジョーディン・ウィーバーがミュージックビデオに出演

ロンドン五輪、女子団体金メダルのアメリカチームの一員、ジョーディン・ウィーバーが、アメリカのロックバンド、サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ (Thirty Seconds to Mars)の「Up in the Air」という曲のミュージックビデオに出演しています。

さまざまなアーティストや動物など、ハイスピードカメラの映像が印象的な作品ですね。

ウィーバーのシーンは、床、平均台、段違い平行棒の演技が何箇所かにちりばめられています。

楽曲のポイントとなる箇所でつかわれたりしていて、なかなか存在感があります。
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全日本体操競技選手権大会の班編成発表

5月11日(土)、12(日)に開催される、第67回全日本体操競技選手権大会の班編成が発表になっていました。

第67回全日本体操競技選手権大会情報 | 日本体操協会公式ブログ | スポーツナビ+.

この大会の注目ポイントは、何といっても、ケガから復帰する内村でしょう。
Ⅱ班第1組で、ゆかから始まって鉄棒で終わる、正式ローテーションですね。

どのぐらい回復しているのか、注目したいと思います。
おそらくケガの影響なんて全く感じさせないんでしょうけど(笑)
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寺本が逆転優勝!加藤は銀メダル -2013FIGワールドカップ・東京大会

昨日のワールドカップ東京大会で、寺本明日香が56.825で優勝しました!

日本女子選手がワールドカップで優勝するのは初の快挙です。

加藤は90.175で銀メダルを獲得。

結果はこちら
日本体操協会 [Japan Gymnastic Association] | 体操競技 | 結果.

1日目の2種目を終えた時点で、2位でしたが、2日目の1種目目平均台でトップに立ち、ゆかでもそのリードを守り切って優勝となりました。
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1日目を終えて、加藤、寺本がともに2位 -2013FIGワールドカップ・東京大会

体操W杯東京の1日目を終えて、加藤、寺本がともに2位となっています。

結果はこちら

日本体操協会 [Japan Gymnastic Association] | 体操競技 | 結果.

加藤は、得意のゆかの着地で少しずつ動き、ラインオーバーもあり、バタバタしたようです。

あん馬も危ない場面があったり、つり輪も姿勢が不十分だったりと、やや精彩を欠いた内容。

内村の代役として、急きょ決まった大会なのと、ワールドカップ・フランス大会の疲れもあると思います。

ワールドカップ・フランス大会の記事はこちら
加藤が種目別平行棒で優勝! -2013FIG種目別ワールドカップ・フランス大会

それでも大崩れせず、2位というのは立派。
明日も頑張ってほしいです。

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