ロンドン五輪:男子団体 見どころ -悲願の金メダル獲得の戦略とは-

内村が何度もインタビューで言っているように、中国を上回り団体の金メダルを獲得すること、それが今回のオリンピックの目標と言っても過言ではないでしょう。

中国がどのような戦略で来るか、それに対して日本がどう戦っていくのか、またほかのライバル国についてもを考えてみたいと思います。


■5-3-3制というルール

まず今回のロンドン五輪の団体戦は、

予選:5-4-3制(5人エントリーし、4人が演技、その中の上位3人の得点を合計)
決勝:5-3-3制(5人エントリーし、3人が演技、その3人の得点を合計)

となっています。

すなわち予選は1人ミスをしても3人がミスなく演技をすれば問題ないのですが、決勝では1人でもミスをすると、それがそのままチームの得点になってしまうので、かなりシビアな戦いになるのは間違いないでしょう。

さらに、昨年の世界選手権まではエントリー人数は6人だったのが、今回の五輪から5人になっています。

5人エントリーということは

6種目×3人演技=演技回数18
演技回数18÷5人=1人当たりの演技回数3.6回

となり、1人当たり3種目出場が目安。

1~2種目だけに秀でたスペシャリストばかりを選出すると、弱い種目が出てくるので、オールラウンダーの育成を目指してきた日本にとっては追い風であるともいえます。


■中国チームのメンバーと戦略は?

中国チームのメンバーは、以下の通り。

ズー・カイ
ジャン・チェンロン
チン・イービン
フォン・ツィー
テン・ハイビン

昨年の世界選手権からヤン・ミンギョンが外れたメンバーです。

世界選手権の団体決勝では、今回外れたヤン・ミンギョンがあん馬とつり輪の2種目で演技していたので、この2つを誰に振り分けるかというところで、予想はこちら。

ゆか あん馬 つり輪 跳馬 平行棒 鉄棒
ズー・カイ
ジャン・チェンロン
チン・イービン
フォン・ツィー
テン・ハイビン

強力なのは、やはり鉄棒でしょう。
ズー・カイはD得点7.9、ジャン・チェンロンはD得点7.7の構成を持っています。

そしてチン・イーピンのつり輪は現状の世界一で、かつミスも出にくいので、大きな得点源になってくるでしょう。


■日本チームの戦略とは

日本は鉄棒とゆかを強化する選出方法をとりました。
詳しくは以下の記事参照。

ロンドン五輪 日本代表選手・選考方法決定

日本の演技予想はこちら

ゆか あん馬 つり輪 跳馬 平行棒 鉄棒
内村航平
田中和仁
山室光史
田中佑典
加藤凌平

上記の予想をしていて、改めて5人になった影響を感じました。

どうしても手薄な種目が出てきてしまうのです。

日本で言うとあん馬、跳馬でしょう。

そこをどうカバーしていくかがキモになってくると思います。

それもあって、やはり内村にはすべての種目に出てもらうことになりますね(笑)

正式ローテでゆかから回ることになるという前提ですが、以下のような流れが理想かと。

ゆか
内村と加藤で得点を稼ぎ、最初からリードする

あん馬
もともと得点を出しにくい種目なので、とにかくミスをしない(落下は絶対しない)

つり輪
山室、内村のつり輪でポイントを稼ぐ。

跳馬
山室のロペス、内村のシューフェルトで得点を稼ぐ

平行棒
田中兄弟(和仁、佑典)内村で15点台後半をそろえる

鉄棒
田中佑典の鉄棒でポイントを稼ぎ、最後に内村の鉄棒でとどめ!
おそらくリューキンを含むD得点7.7の演技構成で来るでしょうし、本当に切羽詰まった状況であれば、降り技を先日のNHKの番組でも見せていたフェドルチェンコに変える可能性もあるかもしれません。

内村が最終演技者でフェドルチェンコの着地をピタリと決めて、逆転の金メダルとかだったらスゴイですよね!
(書いてて鳥肌立ってきました。)

前述のように中国は鉄棒が強力なので、それまでになるべく差をつけて、そのまま逃げ切るのがベストですね。
 

■忘れてはいけない他のライバル達

昨年の世界選手権では、中国との対決に目を奪われているうちに、アメリカに0.01差までつめられ、危うく銀メダルも逃すところでした。

チームを引っ張るジョナサン・ホートンに加え、ダネル・レイバやジョン・オロズコなどの選手もかなり力をつけていて、油断をすると足元をすくわれかねません。

そしてドイツも、世界選手権個人総合、2大会連続銀メダルのフィリップ・ボイに、靱帯断裂という大けがから復帰し、直前のドイツ選手権でも優勝し、調子を上げてきているファビアン・ハンビュヘンがいます。

とにかく

・ミスをしないこと
・美しい演技でE得点を稼ぐ
の2点に尽きると思います。

そうすれば結果はついてくるはずです。

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