5/5NHK杯決勝・オリンピック代表選考会を観に行ってきました。
観客も明らかにいつもより多く、熱気と緊張感が感じられる大会でした。そしてついに、代表が決定!
【男子】
内村航平(KONAMI)
加藤凌平(順天堂大学)
田中佑典(KONAMI)
田中和仁(徳洲会体操クラブ)
山室光史(KONAMI)
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メンバーはほぼ予想どおり。
■総合で火花を散らす田中和仁と山室
田中和仁と山室の予想が総合とポイント別で逆でしたが、実際どちらが総合で上になるかは最後までわからない激しい競り合いでした。
田中和仁が、平行棒で4日間通して1位で、ポイントでかなり有利な状況だったにも関わらず、最後の鉄棒の得点が出たときに、「よっしゃ!」とガッツポーズをしていたのは、世界選手権個人総合銅メダリストの山室に、総合点で勝って代表を決めるという強い気持ちの表れだったと思います。
山室はこの日絶好調。体がキレており、着地もかなり決まっていて、特に最後の鉄棒では、親友でもある内村が乗り移ったかのような見事な着地。
その後のドヤ顔もものすごかったですが(笑)。
世界選手権の個人総合銅メダルで自信をつけたのもあるでしょうし、この代表争いでもひと皮むけたような印象。
この2人は総合の得点も高く、田中和仁は平行棒、山室はつり輪という絶対的な武器を持っているので、やはり強いなと感じました。
■ゆかの代表枠は超新星加藤
ゆかだけ予想が外れましたね。
沖口の予想だったのですが、超新星の若手加藤に決定。
沖口はゆかで1位をとれば可能性があったのですが、足を痛めていたようで、跳馬あたりから足を引きずるようにしていました。
その影響もあってか、代名詞ともいえるロウユンの後の前宙を抜いた演技構成にしたうえに、新月面で手をつくミスがでてしまい、得点を伸ばせませんでした。
今までゆかのスペシャリストと言えば沖口でしたが、大学生になったばかりの加藤が代表を勝ち取ったことで、世代交代という印象を受けました。
■田中三きょうだい末っ子田中佑典も滑り込み
鉄棒枠は田中佑典が滑り込みで代表を決めました。
植松が会心の演技でこの日トップの15.850を出し、全日本選手権の2日目と合わせて2回1位をとっていたので、決まりかと思っていました。
しかし、全日本選手権1日目に鉄棒で1位だった水鳥が総合点で14位に終わり、選考対象から外れたために、2位水鳥と同じく選考外だった太田に続く3位だった田中佑典がくりあがって1位の扱いになったようです。
この時点で田中佑典と植松の2人が1位を2回ずつとった形になったのですが、平行棒などでポイントを稼いでいた田中佑典が選ばれましたね。
昨年の世界選手権では予選のゆかで脳震盪を起こし、団体の決勝では金メダルを逃すことになった鉄棒の落下など、体操の怖さを思い知り、かなりつらい思いをしてきていたはずなので、それを乗り越えて代表を勝ち取ったことを自信にしてくれればと思います。
本人は「メンタル弱いです」ということを言っていましたが、このような選ばれ方をするのは”運”も持っている証拠なので、五輪での爆発を期待しましょう。
■1歩及ばなかった植松、引退を決めた水鳥
代表発表後、少し離れたところでうなだれている植松の姿が印象的でした。
昨年膝の靱帯断裂という大けがをして、そこから驚異的なスピードで復帰して代表争いに加わってきました。
それは五輪にかける思いが回復を早めたとでもいうような速さ。
この日の鉄棒の演技は持ち前のダイナミックさが存分に発揮された見事なものでした。
そして、田中佑典に五輪への道をゆずる形になった水鳥は引退を表明したようです。
31歳水鳥 代表逃すもサバサバ「引退します」 ― スポニチ Sponichi Annex 体操
2004年アテネの金メダルメンバーで、以降8年間、ずっと第一線で戦ってきたのは、体操に取り組む真摯な姿勢の表れだと思います。
まずはお疲れさまと言いたいです。
■選考方法のあや
総合で3位の小林、5位の野々村も素晴らしい演技でしたが、今回、代表枠が6人から5人に減ったこと、そしてライバル国との力関係や戦略から、ゆかと鉄棒を重視する選考方法だったことで代表に入ることはかないませんでした。
この2人はゆかと鉄棒以外が得意な選手なので、
・総合で1位になる
・それぞれの種目で2位以内に入ってポイントを稼ぐ
のどちらかを狙う戦略だったと思われます。
実際、2人の種目別ポイントは
小林:12、野々村:10
という好成績。それでも代表に入れないというところに、日本の選手層の厚さを感じますし、選考の厳しさも感じます。
野々村は鉄棒で落下があり、その後田中和仁の演技後の握手の際に下を向いて悔しそうにしていたのが見えました。
まだ19歳と若いので、ここからまた力をつけていって、いずれ内村を脅かす存在になってくれればと思います。
■アテネのチームと重なるメンバー構成
決定したメンバーについてですが、団体で金メダルを獲得したアテネ五輪のチーム構成に近いと言われています。
確かに、ベテラン、中堅、若手のバランスのとれたチームですね。5人のチームの中に兄弟、高校からの親友がいるというのも心強いでしょう。さらに、内村という絶対的なエースもいる今は、むしろアテネを上回っているのではとも思えます。
まあ、加藤は若手にしては落ち着きすぎな気もしますが(笑)。
この縁起のいいチーム構成で、ぜひ、悲願の団体金メダルを獲得してほしいと思います!