スペシャリスト達の競演:全日本体操選手権 男子種目別 後編

種目別選手権、男子の後半3種目の感想です。

●跳馬
昨年のチャンピオン小倉佳祐(早稲田大学) は、一本目のロペスは素晴らしい実施で16.550だったのですが、2本目のヨーⅡの着地で両手をついてしまい、15.400。
2本の平均は15.975となりました。

小倉の次に演技をした佐藤巧(徳洲会体操クラブ)が一本目のドラグレスクを大きく2歩後ろに動く程度でまとめて16.450。
2本目のドリッグスは少し乱れがありましたが、着地も大きく1歩でこらえて、15.800。
2本の平均16.125で優勝を決めました。

跳馬は本当に一発勝負なうえに、跳躍を2本とも成功させないと優勝できないというシビアな種目でもあるので、独特な緊張感がありましたが、まさにスペシャリストという選手たちの高難度技の応酬で、会場も盛り上がっていました。

●平行棒

優勝した星の演技は本当に素晴らしかったです。
テンハイビン(F難度)をきれいにきめ、ひねり系の高難度技をスムーズに実施していて、流れのあるとても美しい演技で15.950。

内村が中学生の時に、当時高校生だった星の演技を見て、その美しさにあこがれたというエピソードがあるぐらい、”美しさ”に定評のある選手でしたが、この日はその本領が発揮されていました。

そして、同じく15.950で同点優勝となった小林研也(KONAMI) は、ドミトリエンコ、屈身モリスエ、屈身ベーレという宙返り系の技をバシバシ決め、全体を通しても力強くミスのない演技で、こちらも素晴らしかったです。

前日の団体決勝で、関西高校の神本がヒーリー~前宙開脚抜の連続を含む演技構成で、16.000を出していたので、こちらも見てみたかったですね。

●鉄棒

鉄棒はKONAMIのチームメイトでもある植松と田中佑典の争いとなりました。

前日の団体決勝で落下していた植松が、伸身コールマン、コールマン~コバチの連続などを含むすべての離れ技を決める完ぺきな演技で、16.050。
場内は大盛り上がりでした。

これで植松の初タイトル(意外にも)かと思われましたが、田中佑典が、前日つなげられなかった、コールマン~リバルコ、アドラーひねり~コバチなどを完璧にこなし、16.350という高得点で優勝となりました。

田中佑典の優勝が決まった瞬間、一瞬ズッコけて、悔しそうな表情を見せながらも祝福していた植松の表情が印象的でした。

KONAMIチームの雰囲気の良さが感じられるシーンでした。

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