”五輪の魔物”に打ち勝った勝利への思い 男子個人総合決勝 -ロンドン五輪

個人総合決勝で内村が金メダルを獲得!!!

Men’s Individual All-Around – Olympic Gymnastics – Artistic | London 2012.

いやーやりましたね。本当に嬉しいです。

結果はこちら

ゆか15.100(8位)
あん馬15.066(2位)
つり輪15.333(2位)
跳馬16.266(1位)
平行棒15.325(7位)
鉄棒15.600(2位)

合計92.690(1位)

結果だけを見れば、すべての種目で15点以上を叩き出しての圧勝ですが、内容はかなり厳しい戦いでした。

●あん馬
1種目目のあん馬は、演技に入る前の表情が、だいぶ緊張していました。(見ているこちらも緊張しました)

一瞬バランスを崩してヒヤっとする場面もありましたが、落下せずになんとか踏みとどまって、15.066。
全体で2番目の得点でした。

1種目目で、予選、団体とミスをしているあん馬だったのは、かなりプレッシャーだったと思いますが、ここを乗り切ったのは得点はもちろん、精神的にかなり大きかったですね。

実際、あん馬で落下して順位を落としてしまう選手も多かったです、

バランスを崩した時、普通の選手なら足を開いてこらえたりするのですが、内村の足は全く割れなかったですね。
そこに”美しい体操”に対する意地を感じました。

●つり輪
続くつり輪はもともとミスの出にくい種目ですが、それをしっかりまとめて15.333。
これも全体で2位の得点です。

●跳馬
圧巻だったのは跳馬。

D得点6.6のシューフェルトで、今まで見た中でも最高ではないかと思うような着地!
正直、あの瞬間「あ、金メダル決まったな」と思いました。

得点は16.266で、この日の1位。
E得点が10点満点中の9.666なので、本当に減点するところがなかったということです。

本人にも、五輪始まってから初めてではないかという笑顔が出て、憑き物が落ちたような表情でしたね。

一時期、D得点7.0のヨー2を跳んでいた時期もありましたが、世界選手権以降はずっとシューフェルトを跳んでいます。
これも、完成された技を見せたいという、内村の美学なのだと思います。
(ヨー2も完成度は相当高かったですけどね・・・)

ここから、いつものあの“無敵感”が漂い始めます。

●平行棒
平行棒では屈身のベーレを抱え込みに落としましたが、全体をほぼミスなくまとめ15.325。

 

■内村を”理想の探究者”から”勝負師”に変えたもの

●鉄棒
そして注目の鉄棒。
公式練習や予選で落下していたコールマンを抜いてきましたね。

コールマンの加点をとらなくても勝てるという状況で、コーチから「手堅くいってもいいのではないか」という提案を受けたそうです。

今まではとにかく自分の中での最高の演技をすれば結果はついてくる、というスタンスでやってきていた内村にとっては、迷うところもあったと思います。

その内村に決断をさせたのは、個人総合で一緒に表彰台に上がることを目標にしながら、団体決勝の跳馬で負傷してしまった、ライバルであり親友の山室への思い。

そして、母親の周子さんをはじめ、応援をしてくれている人たちへの思い。

その人たちのためにも、”勝利”にこだわることを決断したのだと思います。

そして着地をピタリと決めて、15.600。

●ゆか
ゆかは、6種目の中でもかなり体力を使う種目なので、最終種目となると、厳しいものがあります。

内村も珍しく床に手をつくというミスをして、演技後は客席に向かって手をあわせて謝っていましたね。

それでも15.100と、15点台をキープ。
これで優勝を決めました。

 

■4年間の成長と母への思い

表彰式の後、内村は母・周子さんのもとへ駆け寄り、花束を手渡しました。

内村母、花束の代わりにブラックサンダー/五輪速報/デイリースポーツ online.

北京のころは、照れ隠しもあったんでしょうが、「うざい」と発言していたこともありました。

それが今回は、

「1番応援してくれたと思うし、1番パワーをもらった声援だった。感謝の気持ちでいっぱいです」

内村、母に感謝の金メダル…北京後「うざい」反抗も「1番応援してくれた人」(デイリースポーツ) – ロンドンオリンピック Yahoo!スポーツ×スポーツナビ.

と感謝の気持ちを素直に伝えています。

この4年間で体操選手としても、人間としても大きく成長したことの証だと思います。

 

1984年ロサンゼルス五輪の具志堅幸司以来、28年ぶりの個人総合金メダリストです。

世界選手権を3連覇しているチャンピオンが、こんなに苦戦するとは正直思ってもみなかったですが、それでも圧巻の内容でしたね。

団体で金メダルを逃してから中1日で、よくもここまで立て直したと思います。

 

そして、まだ種目別も残っています。

内村はゆか、田中和仁、佑典の田中兄弟が平行棒に出場します。
こちらもメダルを期待したいです。

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